配管工事において、吊り金具や支持架台をどのくらいの間隔で設置するか(支持ピッチ)は、品質確保とコスト管理の両面で非常に重要です。
「多すぎればコスト増、少なければ事故のもと」。支持間隔が広すぎると、配管の自重や流体の重みでたわみが発生し、水勾配が取れなくなって排水不良を起こしたり、地震時の揺れで破損したりするリスクがあります。
この記事では、国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)」をベースとした、標準的な支持間隔と、現場で考慮すべきポイントについてまとめました。
1. 標準支持間隔の目安(横走り配管)
配管の材質によって強度が異なるため、剛性の高い鋼管よりも、柔らかい塩ビ管の方が狭い間隔で支持する必要があります。
| 呼び径 (A) | 鋼管 (SGP / VB) | 硬質塩ビ管 (VP) | 銅管 | ステンレス鋼管 |
|---|---|---|---|---|
| 15 〜 20 | 1.8m 以下 | 0.8m 以下 | 1.0m 以下 | 2.0m 以下 |
| 25 〜 40 | 2.0m 以下 | 1.0m 以下 | 1.5m 以下 | 2.0m 以下 |
| 50 〜 80 | 3.0m 以下 | 1.2m 以下 | 2.0m 以下 | 3.0m 以下 |
| 100 以上 | 3.0m 以下 | 1.5m 以下 | - | 3.0m 以下 |
※上記は一般的な目安です。実際の設計図書や特記仕様書に記載がある場合はそちらを優先してください。
2. 支持間隔を決める際の重要ポイント
① 曲がり部と機器接続部の重点支持
上記の表はあくまで「直管部」の最大間隔です。以下の箇所には、原則として追加の支持を設ける必要があります。
- エルボなどの曲がり部: 流体の運動量が変化し、衝撃力(スラスト力)が発生するため、曲がりの近くで固定します。
- バルブ前後: バルブは重量物であり、操作時に力が加わるため、配管に応力がかからないよう近傍を支持します。
- 機器接続部: ポンプやタンクのフランジに配管重量がかからないよう、直近で確実に荷重を受けます。
② たわみと水勾配(特に排水管)
排水配管(VP管など)の場合、支持間隔が適切でないと致命的な問題になります。
排水管には「1/100」や「1/50」といった勾配が付けられていますが、支持間隔が広すぎて配管の中央がたわんでしまうと、そこが「水たまり」になり、逆勾配が発生します。これは排水不良、詰まり、悪臭の原因となります。
特に小口径(VP40以下)の塩ビ管は夏場の熱で柔らかくなりやすいため、仕様書よりも狭いピッチ(例:0.8mなど)で支持することが現場の知恵として推奨されます。
③ 立て管の支持
縦方向に走る配管(立て管)は、各階の床貫通部などでフロアごとに確実に支持します。最下部は全重量がかかるため、コンクリート基礎や強固な架台で荷重を受ける「防振支持」が必要になる場合があります。
④ 耐震支持の義務
通常の支持金具(重量支持)とは別に、地震時の揺れを抑える「振れ止め支持」も必要です。
一般的には、横走り配管の場合、約12m間隔ごとに耐震支持を設けることが設備耐震設計指針などで定められています。